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3つの選び方、3つの成功のコツで学ぶバリュー株投資法

目次

バリュー株とは?

バリュー株は『企業の業績や保有している資産などから算出される企業価値よりも、株価が割安である銘柄を指します。』一般的には、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)といった指標が低く、現在の市場価格が企業の実力を反映していないと判断される銘柄が該当します。

安定的な業績や、特徴的な強みを持っている企業であるにも関わらず、様々な要因で多くの投資家に見落とされていたり、過小評価されていると言えます。

バリュー株の例として、1909 日本ドライケミカルという企業を取り上げた記事もぜひご覧ください。

出典:株探|1909 日本ドライケミカル

グロース株とは?

バリュー株とは反対に、将来的に生み出す価値や成長への期待が反映された株価で取引されるのがグロース株です。

創薬やAI、航空宇宙関連に代表されるテクノロジー系スタートアップ企業などが該当し、将来の成長によって大きなリターンを期待する投資家によって取引されることが多くあります。バリュー株との違いとしては、PER や PBR が一般的な数値よりも高くなる傾向があります。

出典:株探|215A タイミー
出典:株探 | 186A アストロスケールHD

バリュー株投資のメリットとリスク

メリット

割安な評価

バリュー株の説明でも述べた通り、企業の実力が市場価格に反映されていなため、割安で株を取得することができます。割安かどうかの判断としては、PER や PBR が使われます。

PER の持つ意味や投資への活かし方について解説したこちらの記事もご覧ください。

業界や市場によって平均的な PER は異なりますが、上場企業の平均的な PER は15倍と言われます。それよりも低い PER の銘柄は割安と言えます。

また、PBR は株価が1株あたりの純資産の何倍の価格かを示す指標で、次の式で表されます。

PBR = 株価 ÷ 1株あたりの純資産

一般的には PBR は1倍を割っている企業は割安と言われます。

1株あたりの純資産は、企業が1株に分配できる純粋な資産を指します。仮に会社が解散、精算した際に株主の手元に残るものです。そのため、PBR が1倍を割れている場合、株価 < 1株あたりの純資産 という図式になるため、理論上『事業を継続するよりも会社を精算したほうが株主の利益になる』ということが言えてしまいます。

日本の上場企業の多くが1倍に満たない PBR であるため、東証がこうした状況の改善と対応の開示を要請したことで注目されました。

参考:JPX: (参考)「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示状況(2023年12月末時点)の集計結果

PER や PBR が望ましい数値に改善されることによって、株価の上昇が期待されます。

安定性と配当

グロース株は企業の成長や、※PMF(プロダクトマーケットフィット)を最優先にしているため、配当金や株主優待を設けていない事が多くあります。また、市場の開拓や開発が想定通りに進まなかったり、時代を先取りしすぎた製品やサービスが世に受け入れられなかったりする場合があります。

その一方で、バリュー株は成熟した業界で製品、サービスを提供していたり、経営基盤や業績が盤石な企業が多く、安定した配当や株主優待などのリターンが期待できます。こうしたリターンや中長期的に安定した成長を期待する投資家にとっては魅力的な選択肢となります。

例えば、2024年11月2日現在では PER が7.8倍、PBRが0.62倍の 5458 高砂鐵工は利回りが 4.3% と、上場企業の平均利回りが2%弱という中では高配当となっています。

出典:株探|5458 高砂鐵工

※PMF:顧客の課題や欲求を満たすための製品、サービスを提供し、市場にその価値が適切に受け入れられている状況を指します。多くのスタートアップ企業は PMF を目指して多額の資金調達、市場開拓、研究開発などを行っています。

リスク

再評価されるかが不確実

バリュー株は経営や業績が安定しており、割安で取得できることが大きな魅力ですが、実際の企業価値が株価に反映されるまでに長い時間がかかることも多く、株価の再評価が不確実であるリスクもあります。

再注目されるきっかけは予測しづらく、特に市場環境や企業の経営方針に左右されることが少なくありません。そのため、投資の際には企業の中長期的な戦略や計画を把握し、自身の投資目標と照らし合わせることが重要です。

低成長のリスク

バリュー株の企業は成熟している業界に属していることも多く、業界全体の需要が飽和状態で、事業成長の可能性が限られていたり、新規顧客の獲得が難しかったりするため、業績が長期的に低迷するリスクがあります。

そのため、既存事業の横展開や海外進出、あるいは新規事業の開拓など、企業がどれだけ成長戦略に取り組んでいるかをしっかり分析することが大切です。

バリュー株を選ぶときのポイント

バリュー株の選び方の秘訣は、企業の安定性や競争優位性、将来性を多面的に分析することです。次の3つのポイントで分析します。

財務体質

企業の健全な財務基盤を確認するため、負債比率や自己資本比率といったキャッシュフローなどの財務指標を確認し、リスク耐性を評価します。
この評価については決算短信を読み解いたり、決算報告資料などから判断することになります。決算短信の読み方のポイントや投資への活かし方についてはこちらの記事もご覧ください。

競争優位性

業界内での位置や独自の強みを確認します。市場シェアや技術優位性、ブランド力がある企業は長期的な競争力を持つ可能性が高いです。例えば、中型株の中には業界トップの企業ではないものの、ニッチな製品では業界トップだったり、海外において高いシェアを誇る製品を製造している企業も数多くあります。

成長の見通し

業界のトレンドや企業の収益性の推移を分析し、将来的な成長の見込みを判断します。これについては四季報や株探、TradingView のファンダメンタル分析の機能などで来期、再来期の業績予想をもとに、順調に成長しているかを判断します。

バリュー株投資で成功するためのポイント

バリュー株投資で成功するためのポイントは、慎重なリスク管理と将来性を見越した戦略的な判断が重要です。特に、期待したほどの成長が見込めないリスクや、何によって企業が再評価されるかわからないリスクがあるため、企業のファンダメンタル面の分析が欠かせません。

分散投資

リスクを抑えるため、異なる業界や地域のバリュー株に分散投資することで、一つの企業や業界の影響を抑えます。例えば、鉄鋼業界は景気の動向による影響を受けやすい景気敏感株と言われます。

日本のみならず世界経済の影響も受けるため、景気の動向を受けにくいディフェンシブ銘柄と言われる、医薬品や電気・ガスなどのインフラ産業と組み合わせることでリスクを分散することができます。

出口戦略

成長が見込めない株や目標株価に達した株は、タイミングを見て売却し利益確定するなど、事前に明確な戦略を持つ必要があります。特にいつ再評価されるかわからないリスクを抱えているので、損切りの徹底は重要です。

株の保有と同時に、損切りする値段であらかじめ逆指値注文を入れておくことで、感情に左右されず損切りができ、損失を最小限にすることができます。

市場動向の把握

定期的に企業ニュースや業界の動向を把握し、時代の変化に応じた投資判断を行うことでリスクを軽減できます。例えば、新製品の投入や特許の取得、AIやクラウド技術などのテクノロジーを使用した新事業の展開などによって、新たな強みを打ち出すことが再評価のきっかけになる場合があります。
また、規制の緩和や政策によってその業界が注目を集めることも考えられます。2024年9月27日の自民党総裁選で石破茂氏が総裁になってからは、防災庁の設置が検討されていることもあって、防災関連の銘柄が注目を集めました。

まとめ

株価の上下に一喜一憂せず、じっくりと腰を据えて中長期的に投資をしていくスタイルを目指したい投資家にとっては、バリュー株の投資は魅力的に映ることと思います。

バリュー株を選ぶ際には、財務体質や競争優位性、成長の見通しなどを含むファンダメンタル分析が欠かせません。企業の多面的な情報に目を通して見極める必要があるため、初心者にとっては少しハードルが高いものがありますが、中長期で投資するためにはファンダメンタル分析は欠かせないのでぜひこのブログを通じてスキルアップしていただけたらと思います。

また、株式投資の普遍的な知識や、ファンダメンタル分析、テクニカル分析などのテクニックを磨くには、セミナーなどで体系的に学ぶのも効果的です。

20年以上の実績を持つファイナンシャルアカデミーの株式投資スクールでは、無料の体験学習会も開催されています。教室への出席だけでなく Zoom を使ったオンライン参加も可能なので、こちらも是非ご検討ください。

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