日本製鉄の株価はなぜ安い?将来性や配当を教えてほしい!
こんな疑問、悩みに答えます。
本記事では「日本製鉄株の将来性が気になっている人」に向けて、以下の内容・目的で記事を書いていきます。
- 日本製鉄の株価が安い理由
- 日本製鉄と同業他社を業績・株価・配当性向から比較
- 今後の日本製鉄株はどうなる?買い時を将来性から考察
なぜ、日本製鉄の株価は安いのか?
そして、日本製鉄の将来性・配当実施はどうなるのか?
日本製鉄株の購入を検討している方や買い時を探っている方にとって、非常に気になる情報です。
気になる日本製鉄の株価が安い理由と今後の将来性について考察していきます。
結論、日本製鉄の株価が安い理由は「鋼材需要の低迷」
鋼材需要が低迷すれば業績への影響は避けられません。
実際、日本製鉄は事業等のリスクとして認識しており、決算発表直後に株価も急落。
日本製鉄のように外部要因に大きく左右される景気敏感株は、売買のタイミングが非常に難しいです。
日本製鉄とはどんな会社?
日本製鉄の株価が急落した理由に触れる前に。
はじめに、日本製鉄とはどんな会社か?基本情報をまとめます。
商号 | 日本製鉄株式会社 |
---|---|
本社 | 東京都千代田区丸の内2-6-1 |
決算期 | 3月 |
資本金 | 4,195億円 |
発行済み株式数 | 950,321,402株 |
従業員数(連結) | 113,639名(2024年3月31日現在) |
事業内容 | 製鉄、エンジニアリング、ケミカル・マテリアル、システムソリューションの各事業 |
業績
まず日本製鉄の業績についてです。
2023年度の売上は8兆8680億円
事業内容
次に日本製鉄の事業内容は以下の通りです。
- 製鉄事業
- エンジニアリング事業:日鉄エンジニアリング(株)
- ケミカル・マテリアル事業:日鉄ケミカル&マテリアル(株)
- システムソリューション事業:日鉄ソリューションズ(株)
配当・株主還元
日本製鉄の配当・株主還元についてです。
2024 年度年間配当は、2023年度と同等レベルを維持することを目指し、1株につき160 円としています。
過去10年の株価推移
そして日本製鉄の過去10年の株価推移についてです。
日本製鉄の株価はなぜ安い?3つの理由
直近1年間の株価チャートは上記の通り。
上昇してきた株価は、一転、2023年3月に株価下落が起きています。
これは、2018年1月の抵抗線に押された形と見られますが、その後も下げ止まることなく株価下落。
2023年5月には、非常に荒い値動きをしているのがわかります。
さらに、足元の株価をみても下落基調となっています。
これらのポイントから、日本製鉄の株価はなぜ安いのか?3つの理由を解説していきます。
【理由1】国内鋼材需要の低迷が続いているから
まず注視すべきは「国内鋼材需要の低迷が続いているから」
日本製鉄の海外売上収益は『約35%』
グローバル戦略の推進・拡大を強化するものの、国内売上収益の方が売上構成は高いです。
(※2020年3月末)
そのため、国内鋼材需要の低迷は業績への影響も避けられません。
実際、国内の鋼材需要は、コロナをきっかけに減少。
下図の需給動向をみても、需要の横ばいは以前として続いています。
さらに、急速に進む円安は、本体国内製鉄事業にマイナスの影響を及ぼします。
具体的には、2023年3月期の外貨バランスは12億ドルの輸入超過。
2022年10月に為替は1ドル=150円もの円安が進んだため、業績には大きなマイナスとなる結果に。
業績へのネガティブな影響は、株価にも反応します。
これらの国内鋼材需要の低迷および為替の影響が、株安を引き起こす一因と考えられます。
【理由2】今期の配当予想を減配し嫌気されたから
さらに投資家の懸念は「今期の配当予想を減配し嫌気されたから」
日本製鉄は、2023年5月10日に2023年3月期決算を発表。
発表直後、株価は急落し、一時10%を超える株安を招きました。
株安を招いた主たる原因は「減配」
前期実績から年間配当を40円減配した140円の配当予想を日本製鉄が公表したためです。
配当の絶対額を減配する公表に、市場も敏感に反応。
ネガティブに捉えられ、売り圧力を強める原因となりました。
減配は株安を招く理由になります。
実際、日本製鉄の競合にあたるJFEホールディングスは増配を発表。
両者の株価動向をみても一目瞭然です。
日本製鉄は200円以上の株安を招くも、JFEは株価が上昇しています。
株価動向(決算発表当日) | 日本製鉄 | JFEホールディングス |
---|---|---|
始値 | 3,099円 | 1,611円 |
翌日終値 | 2,870円 | 1,870円 |
増減 | △229円(7.4%安) | +259円(16.1%高) |
そして、減配ともなれば、配当利回りも低下します。
2023年8月に配当予想の修正(10円増)を公表し、株価は一時的な反発をみせるもすぐに下落。
株価の動向を占ううえで決算発表時には、配当の見通しにも注視する必要があります。
【理由3】世界の鉄鋼需要は現状から好転が見込めないから
そして「世界の鉄鋼需要は現状から好転が見込めないから」
日本だけでなく世界的にも鉄鋼需要は低迷。
好転の兆しも見込めないことから、株安を招く原因になっています。
鉄鋼需要が低迷する原因として、以下3つが挙げられます。
特に中国鉄鋼需要の約3割は不動産が占めており、低迷が続けば業績への影響も避けられない状況。
- 中国は不動産市況の低迷継続
- 内需の回復が見通せない
- 欧米の先行き不透明感が払拭できていない
では粗鋼生産量はどれほど減少しているのか?
実際に調べてみると、2022年度の単独粗鋼生産量は「3,425万トン」
2016年度から比較して、1,000万トン近く著しく減少しているのがわかります。
年度別推移 | 単独粗鋼生産量 | 増減 |
---|---|---|
2022年度 | 3,425万トン/年 | – |
2021年度 | 3,868万トン/年 | △443万トン |
2020年度 | 3,300万トン/年 | +568万トン |
2019年度 | 4,185万トン/年 | △885万トン |
2018年度 | 4,373万トン/年 | △188万トン |
2017年度 | 4,345万トン/年 | +28万トン |
2016年度 | 4,556万トン/年 | △211万トン |
鋼材需給の変動等は日本製鉄にとって事業等のリスクと認識しています。
つまり、鉄鋼需要の低迷が株安を招く最たる原因。
株価の動向を見るうえで、海外の経済状況・景気市況にも目を向ける必要があります。
日本製鉄と同業他社を業績・株価・配当性向から比較
ここまで、日本製鉄のみにフォーカスし株価や事業の将来性を解説してきました。
ただ1社のみの分析では結果に偏りが生じます。
同業他社と比較・分析することで、結果の確度はより高まります。
ここでは、日本製鉄と同業他社を業績・株価・配当性向から比較していきます。
鉄鋼業界の銘柄比較
まず日本製鉄と鉄鋼業界の銘柄比較をまとめた表が以下の通り。
比較表(2023年度) | 日本製鉄(5401) | JFEホールディングス(5411) | 神戸製鋼所(5406) |
---|---|---|---|
売上高 | 8兆8,680億円 | 5兆1,746億円 | 2兆5,431億円 |
当期純利益 | 5,493億円 | 1,974億円 | 1,095億円 |
営業利益率 | 8.78% | 5.55% | 7.34% |
自己資本比率 | 44.59% | 42.82% | 36.19% |
ROE (自己資本利益率) | 12.26% | 8.61% | 11.12% |
EPS (1株当たり純利益) | 596.59円 | 323.33円 | 277.38円 |
PER (株価収益率) | 6.15倍 | 7.86倍 | 7.41倍 |
PBR (株価純資産倍率) | 0.71倍 | 0.66倍 | 0.77倍 |
配当性向 | 26.8% | 30.9% | 32.4% |
配当利回り | 4.36% | 3.94% | 4.38% |
【比較1】営業利益率は9%弱と引き続き利益体質強化
「営業利益率は9%弱と引き続き利益体質強化」
【比較2】ROEは12%台と目標(10%)から向上
「ROEは12%台と目標(10%)から向上」
【比較3】PERは6倍と競合より低い水準
「PERは6倍と競合より低い水準」
今後の日本製鉄株はどうなる?買い時を将来性から考察
日本製鉄株は買いか否か。
結論、株価下落局面に拾うのはリスク。
今後の決算に注視し、動向を見極めるのが吉でしょう。
今後の日本製鉄株はどうなる?買い時を将来性から考察していきます。
【考察1】足元の株価上昇理由は「業績の上昇修正」
まず、足元の株価上昇理由は「業績の上昇修正」
【考察2】事業成長に欠かせないのが「海外事業の深化拡充」
さらに、事業成長に欠かせないのが「海外事業の深化拡充」
【考察3】投資家の注目は「カーボンニュートラルの実現」
そして、投資家の注目は「カーボンニュートラルの実現」
まとめ:日本製鉄の株価が安い理由と今後の見通し・配当情報
日本製鉄の株価が安い理由と今後の見通し・配当情報をまとめてきました。
改めて、日本製鉄の株価が安い理由をまとめると、
- 国内鋼材需要の低迷が続いているから
- 今期の配当予想を減配し嫌気されたから
- 世界の鉄鋼需要は現状から好転が見込めないから
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