日立の株価はなぜ上がる?下がるリスクはない?今後の将来性を教えてほしい!
こんな疑問、悩みに答えます。
本記事では「日立株の売買を検討している方」に向けて、以下の内容・目的で記事を書いていきます。
- なぜ?日立の株価が上がる理由
- 日立と同業他社(電機メーカー)を業績・指標から比較
- 日立の株価は今後どうなる?成長戦略と配当金から考察
なぜ、日立の株価は上がるのか?
そして、日立の株価は今後どうなるのか?
日立株の購入を検討している方や株式投資のリスク分散したい方にとって、非常に気になる情報です。
気になる日立の株価が上がる理由と今後どうなるか将来性について考察していきます。
結論、日立の株価はなぜ上がるのか?
最たる要因は、好調な業績を背景に、今後の見通しに対する買いが入ったといえます。
特に好感された取り組みが「選択と集中」
低収益事業の売却や撤退、上場子会社の完全子会社化など、あらゆる手を尽くし、再建の道を切り開いてきました。
これら日立のたゆまぬ努力と英断が今に至っているといっても過言ではありません。
日立とはどんな会社?
日立の株価が上がる理由に触れる前に。
はじめに、日立とはどんな会社か?基本情報をまとめます。
商号 | 株式会社 日立製作所 |
---|---|
設立年月日 | 大正9年(1920年)2月1日 [創業 明治43年(1910年)] |
本店の所在地 | 東京都千代田区丸の内一丁目6番6号 |
従業員数 | 29,485名(2022年3月末現在) |
資本金 | 461,731百万円(2022年3月末現在) |
発行済株式 | 938,241,277株 |
事業領域 |
デジタルシステム&サービス グリーンエナジー&モビリティ コネクティブインダストリーズ オートモーティブシステム |
業績
まず日立の業績についてです。
事業領域
次に日立の事業領域は以下の通りです。
出典: 日立「日立のめざす姿」
- デジタルシステム&サービス
- グリーンエナジー&モビリティ
- コネクティブインダストリーズ
- オートモーティブシステム
過去10年の株価推移
そして日立の過去10年の株価推移についてです。
足元の株価は、下値切り上げの上昇しているのがわかりますね。
株価が上昇し始めたのは、2021年に入ってから。
それまでは、長期にわたるボックス相場(約2,000円~約4,700円)を形成していました。
つまり、日立の株価上昇はつい最近の出来事。
直近の材料が好感され、投資家や市場関係者の注目を集めたのは言うまでもありません。
日立の株価はなぜ上がる?3つの上昇理由
日立の過去10年における株価推移を示したチャートを再掲します。
見ての通り、2021年に入ってから株価上昇が確認できます。
市場関係者や投資家からの評価を受けたからこそ、株価も反応したといえます。
ではなぜ、日立の株価は上がるのか?
株価の上昇理由は何なのか?最も気になるのは、その要因ですよね。
ここから早速、日立の株価はなぜ上がる?3つの上昇理由について解説します。
【理由1】業績が好調だから
まず大局的な理由でいうと「業績が好調だから」
日立の業績は、好調に推移しています。
2022年度における売上高および純利益は、3期連続の増収増益を達成。
具体的な業績の推移を見てみると以下の通りとなります。
日立|業績推移 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|---|
売上高(億円) | 94,806 | 87,672 | 87,291 | 102,646 | 108,811 |
当期純利益(億円) | 2,225 | 875 | 5,016 | 5,834 | 6,491 |
EPS(円) | 230.47 | 90.71 | 519.29 | 603.75 | 684.55 |
見ての通り、2020年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の決算で、純利益は大幅増益を達成。
大幅増益に反応するかのように、株価が上抜けしたタイミングも2021年4月の決算発表時期。
実際、2020年度決算の発表から2021年中における株価上昇率を調べると、実に45.99%も上昇したことがわかっています。
日立|株価推移 | 決算発表当日の終値 (2021年4月28日) | 2021年における高値 (2021年11月24日) | 下落率 |
---|---|---|---|
株価 | 5,110円 | 7,460円 | +2,350円(45.99%増) |
さらに、EPSの向上も著しいです。
EPSは、企業の収益力・成長性をみる指標であるため、EPSが高いと株価も上昇しやすい。
つまり、日立の株価が上がる最たる要因は堅調は業績。
売上高、純利益、EPSのいずれにおいても好調に推移していることが、株価上昇に繋がったといえます。
【理由2】10年間にわたる構造改革に成功したから
次に局所的な要因として「10年間にわたる構造改革に成功したから」
2009年、日立は日本の製造業として過去最大となる7,873億円もの赤字を計上。
日立の歴史を振り返っても、業績低迷(株価低迷)期に突入するタイミングが、この時期といえます。
ですが結論からいうと、10年にもわたる日立の構造改革は成功し、業績・株価ともにV字回復することになります。
では、日立はいったい何をしたのか?
10年間にわたる日立の構造改革(中期経営計画)の変遷をまとめると、以下の通りです。
日立の10年間 | 構造改革の変遷 |
---|---|
2012中期経営計画 (2010-2012年度) | 経営の立て直し(リカバリー) |
2015中期経営計画 (2013-2015年度) | 成長のための基盤づくり(事業の入れ替え) |
2018中期経営計画 (2016-2018年度) | 社会イノベーション事業の強化(デジタル技術の活用) |
2021中期経営計画 (2019-2021年度) | デジタルによる社会イノベーション実現(グローバル成長の基盤構築) |
この10年間を一言でいうなら、「選択と集中」
これまでの日立は、低収益事業が多く、業績の良い事業が悪い事業をカバーする構造が続いていました。
当時、足を引っ張っていた低収益事業を具体的に示すと以下の通りです。
- 自動車機器関連事業
- 薄型テレビ事業
- HDD事業
これら構造を改革するべく、事業の選択と集中を断行。
最も象徴的な取り組みが、日立の上場子会社22社の選択と集中に着手したこと。
日立が中核事業に据える社会イノベーション事業と関連性が薄い事業を減らすという、明確な基準のもと実行しました。
その結果、22社あった上場子会社は2023年3月期にゼロ。
売却もしくは完全子会社化・合併を実行し、事業収益性の改善および中核事業の強化に成功しました。
10年にわたる構造改革(主に上場子会社の選択と集中)によって、業績への影響も懸念されていました。
ですが、前述でも解説の通り、日立は直近3期連続で増収増益を達成。
つまり、日立の構造改革は成功し、2009年の大赤字から見事に復活劇を遂げた会社だということ。
そして、長らくボックス相場を形成していた株価も、2021年からは上に抜けて上昇トレンド入り。
日立の株価上昇要因は、これらたゆまぬ努力と英断した構造改革にあるといえます。
【理由3】重電主体からITソリューションを軸に構造転換させたから
そして3つ目の理由が「重電主体からITソリューションを軸に構造転換させたから」
2021年に入って日立の株価は、3連騰を記録し20年ぶり高値を更新。
これら日立株の買いが続く要因の一つが、事業の構造転換への評価にあるといえます。
今までの日立は「総合電機」
ですが、構造改革により実行された構造転換は、ITソリューションを軸にした社会インフラ企業への転換。
その象徴となる、日立が今後も成長の核と位置づける事業の一つが「Lumada(ルマーダ)」
ルマーダとは、顧客のビジネスに、デジタル技術で新しい価値と持続的な成長を提供する事業のこと。
社会やビジネスが生み出すデータが増え続ける現在、これらのデータから新たな価値を創出し、イノベーションを加速するためのエンジンが日立のルマーダと位置づけられています。
実際、IT企業のみならず非IT企業でもDX化推進が強化される昨今。
日立が注力するルマーダ事業は、まさにデジタルイノベーション加速に欠かせない存在になりつつあるといえます。
では、今後のルマーダ事業の成長はどれほどか?
2016年の立ち上げから2018年中計では、すでにLumada関連売上が1兆円規模にまで成長。
2024年度には、Lumada事業の売上収益を27,000億円にまで拡大する計画まで公表しています。
日立と同業他社(電機メーカー)を業績・指標から比較
ここまで、日立のみにフォーカスし株価や事業の将来性を解説してきました。
ただ1社のみの分析では結果に偏りが生じます。
同業他社と比較・分析することで、結果の確度はより高まります。
ここでは、日立と同業他社を業績・株価・配当性向から比較していきます。
大手電機メーカーの銘柄比較
まず日立と大手電機メーカーの銘柄比較をまとめた表が以下の通り。
比較表(2022年度) | 日立製作所(6501) | ソニー(6758) | パナソニック(6752) |
---|---|---|---|
売上高 | 10兆8,811億円 | 11兆5,398億円 | 8兆3,789億円 |
当期純利益 | 6,491億円 | 9,371億円 | 2,655億円 |
営業利益率 | 6.88% | 10.47% | 3.44% |
自己資本比率 | 39.54% | 22.56% | 44.90% |
ROE (自己資本利益率) | 13.98% | 13.04% | 7.83% |
EPS (1株当たり純利益) | 684.55円 | 813.53円 | 113.76円 |
PER (株価収益率) | 10.59倍 | 14.73倍 | 10.39倍 |
PBR (株価純資産倍率) | 1.38倍 | 2.24倍 | 0.76倍 |
配当性向 | 21.0% | 9.9% | 26.4% |
配当利回り | 2.00% | 0.63% | 2.54% |
【比較1】ROEが14%前後と高収益を評価
まず競合と比較して目立つのは「ROEが14%前後と高収益を評価」
日立のROEは、13.98%。
競合のいずれよりも高く、日本企業の平均も9%前後と比較しても高いです。
つまり、日立は収益性が高い事業を展開している証拠。
海外投資家にとって、ROEは最重要指標であり、買いが入る要因となっています。
【比較2】EPS600円超えと非常に高い水準
さらに株価上昇に繋がる「EPS600円超えと非常に高い水準」
EPSとは、1株当たり純利益のこと。
企業がどれだけ利益を上げたかを表す、企業価値を判断する上で重要な指標の一つです。
企業の収益力・成長性をみる指標であるため、EPSが高いと株価も上昇しやすいといえます。
日立のEPSは600円超え。
電機産業の平均は200円前後とする中、非常に高水準であるのがわかります。
【比較3】配当利回りは2%前後と若干低い
ただ投資家として懸念するのは「配当利回りは2%前後と若干低い」
プライム全銘柄の平均利回りは、2~2.2%程度です。
比較すると、日立は同程度か平均より低い水準となっています。
配当利回りは高すぎず低すぎず。
なんですが、利回り目当てに銘柄を探している投資家にとっては、魅力は映らないでしょう。
日立の株価は今後どうなる?配当金と成長戦略から考察
ここまで、日立の株価動向について解説してきました。
結論、日立の株価はなぜ上がるのか?
最たる要因は、好調な業績を背景に、今後の見通しに対する買いが入ったといえます。
特に好感された取り組みが「選択と集中」
低収益事業の売却や撤退、上場子会社の完全子会社化など、あらゆる手を尽くし、再建の道を切り開いてきました。
これら日立のたゆまぬ努力と英断が今に至っているといっても過言ではありません。
では、最も気になる日立の株価の今後はどうなるのか?
株は買いなのか?それとも売り時か?
気になる日立の株価は今後どうなる?配当金と成長戦略から考察していきます。
【考察1】配当金は順調に増配
まず投資家が注視する「配当金は順調に増配」
日立の1株当たり配当金の推移は、以下の通りとなります。
日立の1株当たり配当金 | 中間配当 | 期末配当 | 年間配当 |
---|---|---|---|
2023年度 (2024年3月期) | 80円 | 75円(予想) | 155円(予想) |
2022年度 (2023年3月期) | 70円 | 75円 | 145円 |
2021年度 (2022年3月期) | 60円 | 65円 | 125円 |
2020年度 (2021年3月期) | 50円 | 55円 | 105円 |
2019年度 (2020年3月期) | 45円 | 50円 | 95円 |
2018年度 (2019年3月期) | 8円 | 50円 | 58円 |
毎期順調に増配しているのがわかります。
日立の配当性向は、20~30%を推移しており、減配リスクも低いと見られます。
【考察2】成長戦略で欠かせないのがLumada(ルマーダ)
さらに「成長戦略で欠かせないのがLumada(ルマーダ)」
日立が掲げた2024中期経営計画の目標業績は以下の通り。
特に注力するのは、Lumadaをコアとした協創拡大による事業成長。
具体的な成長率は、売上収益で24%。
EBITAは16%と、いずれも日立の成長を牽引する事業となっています。
【考察3】世界トレンドの脱炭素化をリードしサステナブルな社会へ
そして「世界トレンドの脱炭素化をリードしサステナブルな社会へ」
【Q&A】株価が上がる日立の株式に関するよくある質問
最後に株価が上がる日立の株式に関するよくある質問をまとめます。
まとめ:日立の株価が上がる理由と今後の将来性を考察
日立の株価が上がる理由と今後の将来性を考察してきました。
改めて、日立の株価が上がる理由をまとめると、
- 業績が好調だから
- 10年間にわたる構造改革に成功したから
- 重電主体からITソリューションを軸に構造転換させたから
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