トヨタ自動車株を100株保有で配当金はいくら?EV シフトは業績や株価にどう影響してくる?
こんな疑問、悩みに答えます。
本記事では「トヨタ自動車株の配当金情報が知りたい人」や「トヨタ自動車の株を取得しようか迷っている人」に向けて、以下の内容・目的で記事を書いていきます。
- トヨタ自動車株の配当金はいつもらえるのか
- トヨタ自動車100株保有時にもらえる配当金の額と推移
- トヨタ自動車株の配当性向・配当利回り・株主優待情報
- トヨタの EV 戦略とこれまでの業績
- トヨタ株のメリットとデメリット
トヨタ自動車100株保有で配当金はいくらもらえるのか?EV戦略は競合のテスラや BYD と比較してどういった強みがあるのか?
そんなトヨタ自動車の企業の概要と、配当金に関する最新情報を詳しく解説していきます。
トヨタ自動車の企業概要と事業内容
トヨタ自動車の配当に触れる前に、トヨタ自動車とはどんな会社なのか?事業内容や企業の概要を改めて見ていきましょう。
企業概要
会社名 | トヨタ自動車株式会社 |
---|---|
本社所在地 | 愛知県豊田市トヨタ町1番地 |
設立 | 1937年(昭和12年)8月28日 |
資本金 | 6,354億円 |
発行済株式の総数(自己株式を含む) | 16,314,987,460株(2023年3月31日現在) |
事業内容 | 自動車の生産・販売 |
従業員数 | 70,224人(連結 380,793人) (2024年3月末現在) |
事業内容
トヨタ自動車の事業内容は御存知の通り、自動車の生産と販売です。また、これに付随する独自の自動車ローンの提供やクルマの買取、チューンナップパーツの製造などはグループ会社が事業を担っています。
軽自動車やコンパクトカー、SUV、高級セダン、ファミリー層向けのミニバンなど、ユーザーの様々なニーズに答える車種を展開しています。
トヨタ自動車の業績
次にトヨタ自動車の直近の業績と、過去10年に遡った株価推移を見ていきます。
直近の業績
2024年3月期の連結での営業収益(売上高)は45兆円、営業利益は5兆3000億円と、世界をリードする自動車メーカーと言うだけあって売上も営業利益も桁違いです。当然国内の企業の中で最も売上、利益を上げている日本を代表する企業です。
販売台数
2023年3月期との販売台数の比較です。トヨタ自動車としては全世界で944万台となっています。
ダイハツや日野自動車ブランドのほか、高級車ブランドの Lexus を含めたグループすべての販売台数は1109万台となっています。それぞれのブランドではハイブリッド車、PHEV(プラグインハイブリッド)車などの EV(電動車)と従来のエンジン車を展開しています。
カーボンニュートラル実現の取り組み
トヨタ自動車のみならず、あらゆる企業の将来性を判断するうえで持続可能性(サステナビリティ)が考慮されているかは重要視されるポイントです。
環境への影響を様々議論されてきた自動車業界で世界をリードするトヨタ自動車も、カーボンニュートラル(CN)を実現するべくCO2 排出量削減や、環境負荷の低減について、トヨタグループ内だけに限らず他の自動車メーカーや業界の枠を超えた取り組みを進めています。
こうした取り組みをまとめたものがBEYOND ZEROとして掲げられています。
取り組み | 詳細 |
---|---|
水素(FCEV、水素エンジン) | ガソリンに代わり、水素を燃料とした燃料電池車、発電機の開発、普及 |
電池(電池技術・電池生産) | ハイブリッド車やPHEV車などの車載バッテリーの生産や全固体電池の技術開発、生産 |
BEV(バッテリーEV) | ハイブリッド車や電気自動車などの電動車のフルラインナップ化、充電ステーションの普及など |
HEV(ハイブリッド車) | 安定的な電力や充電ステーションが整備されていない地域の選択肢、手の届きやすい価格帯としての展開 |
PHEV(プラグインハイブリッド車) | 充電可能なバッテリーを搭載したハイブリッド車として、モーター走行、ガソリン走行のいずれも可能な優れた選択肢としての展開 |
CJPT | いすゞ自動車、日野自動車との合同で設立した企業「Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT)」で輸送業の抱える課題の解決や、業界においてカーボンニュートラル実現を目指す |
モータースポーツを通じたCN活動 | レース参加を通じて、水素やカーボンニュートラル燃料を使用したエンジンの技術開発などを行う |
燃料 | 水素やバイオエタノール、合成燃料などガソリンに代わる燃料の普及を実現するために、業界の枠組みを超えたパートナーシップを構築 |
東北地方 | 東日本大震災からの復興の取り組みが進む東北地方は、トヨタにとって重要している拠点。特に福島県はカーボンニュートラル燃料の研究、開発が行われる拠点として位置づけられている |
EV競合との比較とトヨタ自動車の戦略
カーボンニュートラルを実現するうえで重要視されているのが EV シフトです。EV に特化した企業としてはアメリカのテスラ、中国のBYDがあげられますが、トヨタ自動車が明確に違うのは完全に EV にはシフトしておらず、あくまで選択肢の一つとして展開していることです。
BEYOND ZERO の ハイブリッド車での取り組みの説明にもあるように、地域や国によって電力事情やインフラの整備状況が異なります。
そうした国や地域では EV 車の需要そのものが低い可能性があるので、販売台数が伸び悩むことも予想されます、モーターだけでなくエンジンも使用するハイブリッド車は消費者にとって有力な選択肢となり得ます。
環境問題の解決に取り組みつつも、様々な消費者のニーズを反映したクルマ作りができるのはトヨタ自動車の大きな強みと言えるでしょう。
トヨタ自動車の過去10年の株価推移と配当性向
続いて、過去10年のトヨタ自動車【7203】の株価の推移と配当性向を見ていきましょう。
2010年代は1300円台〜1500円台で長らくボックスを形成していました。
2021年には上述したカーボンニュートラルへの取り組みが2021年3月期決算の中で示されたことで、SDGs に取り組む姿勢や将来の展望への期待感からか、徐々に右肩上がりとなっています。
直近の2024年3月期の決算では史上最高売上、利益を記録したこともあって株価は 3,890 の高値となりました。
2024年6月3日に「型式指定申請における不正問題」が明らかになり、日本国内で生産している3車種(カローラフィールダー/アクシオ、ヤリスクロス)の生産、販売が停止したことで一気に株価を下げました。また、7月29日には追加で2車種(ノア/ヴォクシー)の出荷停止や、8月に入ってから日経平均株価の記録的な暴落が追い打ちをかけています。
トヨタ自動車株はいくらで買える?
2024年8月20日時点のトヨタ自動車の株価は「2,687円」
出典:Yahoo!ファイナンス「トヨタ自動車(株)」
つまり、トヨタ自動車株の最低購入代金は「268,700円(2,687円×100株)」です。
※株式購入時には手数料がかかります。利用している証券会社によって手数料も異なるので注意。
トヨタ自動車株の配当性向は高い?低い?
トヨタ自動車株の配当性向は以下の通りです。
トヨタ自動車株の配当性向 | 配当性向 | 年間配当金 | 当期純利益 |
---|---|---|---|
2024年3月期 | 23.0% | 75円 | 4,399,855百万円 |
2023年3月期 | 27.9% | 60円 | 2,936,379百万円 |
2022年3月期 | 42.6% | 52円 | 1,693,947百万円 |
2021年3月期 | 41.2% | 48円 | 1,638,057百万円 |
2020年3月期 | 43.6% | 44円 | 1,424,062百万円 |
2019年3月期 | 33.5% | 44円 | 1,896,825百万円 |
配当性向とは、会社が税引後の利益である当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに向けたかを示す指標のこと。
日本企業の配当性向の平均は、30%程度といわれています。
そんな中、トヨタ自動車の配当性向は、2022年3月期までは40%を超える高い水準を維持していましたが、2023年3月期、2024年3月期と配当性向30%を下回ってます。
これはネガティブな要因ではなく、利益が上振れたためです。2022年と比較しても大幅に利益が増加しています。
配当金も減配することなく、毎期増配している点も鑑みても業績は堅調だといえます。
さらに、トヨタ自動車のリリース資料をみても配当政策には前向きな姿勢を貫いています。
配当金につきましては、安定的・継続的に増配を行うよう努めてまいります。
過去にも「連結配当性向30%を維持・向上」と公言しており、今後もトヨタ自動車の配当は、安定かつ余力のある実施が見込めるといえるでしょう。
トヨタ自動車株の配当利回りは良い?競合他社と比較
トヨタ自動車株の配当利回りは良いのかどうか?
企業単体で分析しても評価しづらいため、競合他社と比較してみます。
配当利回り比較表(2024年度) | 年間配当金 | 配当利回り |
---|---|---|
トヨタ | 75円 | 1.98% |
ホンダ※1 | 68円 | 3.6% |
日産 | 20円 | 3.29% |
プライム全銘柄 | -円 | 2.21% |
※1 2023年10月1日に、1:3の株式分割を実施。配当金、利回りは分割調整した値です。
東証プライム全銘柄とほぼ同じ水準であるものの競合のホンダや日産よりも低い水準となっています。しかし、過去5年の配当利回りはこの様になっています。
年度 | 配当利回り |
---|---|
2024年3月 | 1.98% |
2023年3月 | 3.19% |
2022年3月 | 2.34% |
2021年3月 | 2.79% |
2020年3月 | 3.38% |
2019年3月 | 3.39% |
2024年3月の配当利回りだけを見ると競合のホンダや日産と比較して低い配当利回りに見えますが、過去5年の決算時期の配当利回りを見ると2%台後半から3%弱となっています。
実際、2024年3月27日の権利確定日には株価はピーク(終値3,853円)に達していたために、2024年3月時点では利回りが特に低かったと言えます。
【2024年最新】トヨタ自動車株の配当金はいつもらえる?
トヨタ自動車株の配当金はいつもらえるのか?
結論からいうと、配当金をもらえるのは「5月下旬」と「11月下旬」の2回で、「期末配当(3月31日)」と「中間配当(9月30日)」で実施された配当金を2ヶ月後に支払われます。
トヨタ自動車株の配当金の額と推移
次に、過去5年のトヨタ自動車100株保有時にもらえる配当金の額と推移は以下の通りです。
トヨタ自動車の配当金 | 期末配当 | 中間配当 | 年間配当 |
---|---|---|---|
2024年度 | 45円 | 30円 | 75円 |
2023年度 | 35円 | 25円 | 60円 |
2022年度 (※分割調整後) | 28円 | 24円 | 52円 |
2021年度 (※分割調整後) | 27円 | 21円 | 48円 |
2020年度 (※分割調整後) | 24円 | 20円 | 44円 |
2019年度 (※分割調整後) | 24円 | 20円 | 44円 |
2024年度に受け取れる配当金は「75円」なので、トヨタ自動車株を100株保有していれば「7,500円」受け取れることになります。
税引後の支払い額
配当金には支払い時に税金がかかります。
税率は「20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)」です。
100株 x 75円 = 7,500円ですが、税金を引いた税引後の支払い額は「7,500円(100株の場合)」となります。
権利確定日
トヨタ自動車株の権利確定日は毎年「3月31日」です。中間配当を実施する時は「9月30日」になります。
出典:株式の状況
権利確定日の2営業日前が「権利付き最終日」です。
権利付き最終日とは、株主がその銘柄を保有することで株主権利を得ることができる最終売買日のこと。
つまり、配当金を受け取りたい場合は、権利付き最終日までに株を購入しておく必要があります。
トヨタ自動車の今期配当金を受け取れたのは「2024年3月27日」までに株を購入した場合ということです。
次回の配当を受け取りたい場合は、2025年3月27日までに株を取得する必要があります。
トヨタ自動車の株主優待有無
結論、トヨタ自動車に株主優待はありません。
トヨタの公式サイトでも以下の通り、ないことを明言しています。
トヨタ自動車株のメリットとデメリット
投資のメリット
年々、売上も利益も右肩上がりになっており、2024年3月期には売上、利益の最高額を更新しました。
2024年6月以降、国内で生産・販売台数が減少した中でも第1四半期決算では原価改善や、営業面での努力から増益となったことや、2025年3月期には売上46兆円と予想されていること、EV 戦略の取り組みから今後も業績を大きく伸ばしていくことが期待されます。
出典:第1四半期決算情報
また、2024年5月9日〜2025年4月30日までの間、過去最高となる1兆円規模の自社株式の取得が発表されていることからも、株主還元も期待できます。
考慮すべきデメリット
しかし、国内での減産の影響がどこまで尾を引きずるか、また為替相場が徐々に円高の様相を呈してきていることが、利益にどう影響するかが懸念されます。
昨今では2022年3月からのアメリカでの利上げをきっかけとする歴史的な円安相場が続いています。トヨタ自動車のような輸出株の場合、円安に動くと売上が増加しプラスの影響があると言われます。逆に円高に動くと売上が落ちマイナスの影響があります。
極端すぎる円安が続いていることについて、日銀は次のように見解を出しています。
「物価の上振れ要因であり、金融政策運営上、十分に注視する必要がある」
8月21日には1ドル144~146円前後まで円高が進みました。
1円の値動きはトヨタ自動車にとって、営業利益500億円分の影響があると言われているので、今後の業績や株価への影響が懸念されます。
まとめ
ここまでトヨタ自動車の業績や EV 戦略、株価の推移、配当金情報などの株式情報をまとめてきました。世界的に EV シフトの潮流がある中で、トヨタ自動車の強みを生かした戦略がどのように業績に反映されるかは注目が集まります。
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