ANAの株価の10年後はどうなる?事業の将来性から今後の見通しを教えてほしい!!
こんな疑問、悩みに答えます。
本記事では「ANAの株価の将来性が気になる人」に向けて、以下の内容・目的で記事を書いていきます。
- 【ANAの株価の10年後】重要な3つの事業戦略
- ANAとJALの株価10年後を業績・配当性向から比較検証
- ANAの株価の10年後を占う戦略から今後の見通しを考察
ANAの株価は、10年後どうなるのか?
株主だけでなく、ANA株の購入を検討している方にとっても、非常に気になる情報です。
気になるANAの株価の10年後を重要な事業戦略から今後の見通しを考察していきます。
結論、ANAが手掛ける事業戦略には期待感が高まっています。
特に注力するのが、「航空事業」と「非航空事業」の相乗効果。
実際、これまで培ったノウハウと顧客基盤を活用した新たなプラットフォーム構築に期待が高まります。
ANAとはどんな会社?足元の業績と株価推移
ANAの株価の10年後を占う前に。
はじめに、ANAとはどんな会社か?足元の業績と株価推移から基本情報をまとめます。
商号 | ANAホールディングス株式会社 |
---|---|
所在地 | 東京都港区東新橋1丁目5番2号 汐留シティセンター |
設立 | 1952(昭和27年)12月27日 |
資本金 | 467,601百万円 |
連結売上高 | 2,055,928百万円(2024年3月31日現在) |
従業員数 | 260名 連結従業員数 41,225名(2024年3月31日現在) |
事業内容 | グループの経営戦略策定、経営管理及びそれに付帯する業務 |
業績
まずANAの業績についてです。
2023年度決算においては、売上高2兆550億円、営業利益が2000億円を突破し大幅な増収増益を達成しました。
いずれもコロナで冷え込んだ航空事業が、需要回復に伴い計画を上回る結果となりました。
事業内容
次にANAの事業内容は以下の通りです。
出典: 2024年3月期決算説明資料
特徴は、売上の9割を航空事業、航空関連事業が占めている点です。
配当・株主還元
ANAの配当・株主還元についてです。1株当たり配当金の推移は以下の通りです。
ANA|決算期 | 1株当たり配当金 | 配当利回り |
---|---|---|
2025年3月期(予想) | 50円 | 1.67% |
2024年3月期 | 50円 | 1.56% |
2023年3月期 | 0円 | -% |
2022年3月期 | 0円 | -% |
2021年3月期 | 0円 | -% |
2020年3月期 | 0円 | -% |
2019年3月期 | 75円 | 1.85% |
2018年3月期 | 60円 | 1.46% |
2017年3月期 | 60円 | 1.76% |
2016年3月期 | 50円 | 1.58% |
2015年3月期 | 40円 | 1.24% |
新型コロナウイルスの流行が影響して無配当が続いていたものの、2024年3月期の配当は50円に復配。
そして、2025年3月期の配当予想は前期と同じく50円と発表しています。
株主還元は株主優待のみで、優待内容は以下の通りとなっています。
- ANA国内線ご搭乗優待
- ANAグループ各社・提携ホテルご優待
過去10年の株価推移
そしてANAの過去10年の株価推移についてです。
過去10年間の株価推移をみても、コロナによる株価急落は著しいのがわかります。
2023年5月に新型コロナウイルスが5類感染症に移行したことが好材料となってか、ブレイクアウトしているものの、直近の足元では、株価は底を抜けブレイクアウト前の水準に戻っているように見受けられます。コロナ前の水準と比較すると、現在も1,500円~1,800円近く下落し続けています。
【ANAの株価の10年後】重要な3つの事業戦略
ANAは2025年度までの中期経営戦略を公表しています。
その中で、2030年にありたい姿として「ワクワクで満たされる世界を」を新・経営ビジョンとして掲載。
これらのビジョンを実現すべく、ANAは現在、何に注力しているのか?
10年後のANAの株価も左右する、重要な3つの事業戦略というのが以下の通りです。
- 稼ぎ頭である航空事業の利益最大化
- ノンエア事業の航空事業との回遊強化と収益拡大
- ANAマイレージクラブアプリなどを活用したANA経済圏の拡大
収益にどれだけのインパクトがあるのか?
10年後(2030年度)の見通しなど、順番に解説していきます。
【戦略1】稼ぎ頭である航空事業の利益最大化
まず1つ目の重要戦略が「稼ぎ頭である航空事業の利益最大化」
- ANAの稼ぎ頭である、航空事業(ANA、Peach、AirJapanの3ブランド)
- コロナをきっかけに重要性が再認識され、現在事業拡大中の貨物事業
これらの事業で構成されるドメインが「エアライン事業」となっています。
このエアライン事業の利益最大化が、ANAの今後の株価の命運を握るカギとなります。
なぜなら、エアライン事業の売上構成が約9割を占めているから。
屋台骨が揺らげば、再びANAの業績は低迷することになります。
旅客需要が回復堅調にある今、利益最大化に向けて、3ブランドのマルチブランド最適化が進められています。
マルチブランドの最適化により、顧客ニーズへの柔軟な対応が可能。
さらに、データやナレッジを連携することでも、路線・ダイヤ・便数の最適化(調整)が図られます。
また、航空事業の規模拡大に欠かせない機材数は、2030年度にはコロナ前以上の機材数とする計画を発表しています。
機材数の拡大は、今後の需要回復の目途が立ったからこその先行投資。
同時に環境に配慮した機材を増やすことで、社会的価値の追求も進めています。
そして貨物事業は、 稼ぐための構造改革を推進。
具体的には、アジア・欧米の需要取り込みと大口顧客との契約締結。
これらの戦略から、航空貨物需要のさらなるシェア拡大による利益拡大を狙います。
以上の取り組みをまとめると、
・航空事業のマルチブランド最適化
・貨物事業の需要取り込みによるシェア拡大
この2つの戦略によって利益最大化を進め、価値創造の向上に努めます。
【戦略2】ノンエア事業の航空事業との回遊強化と収益拡大
次に2つ目の重要戦略が「ノンエア事業の航空事業との回遊強化と収益拡大」
ノンエア事業とは、非航空事業のこと。
具体的なセグメントは、「航空関連事業」「旅行事業」「商社事業」
このノンエアと航空事業間における顧客の回遊促進が、収益拡大のカギとなります。
両事業には顧客基盤を活用したプラットフォームが構築されており、そのプラットフォームというのが「ゲートアプリ」「新ECモール」「新決済手段」の3つです。
これらのプラットフォームを介して、顧客回遊を進めることで収益拡大を目指しています。
実際、セグメントのうち「旅行事業」は2025年度には100億円まで伸長する計画も公表されています。
2025年度目標におけるノンエア事業全体での売上高が「約4,000億円」
営業利益は「240億円」となり、2018年度に比べて、約3.6%の利益率伸長を計画しています。
【戦略3】ANAマイレージクラブアプリなどを活用したANA経済圏の拡大
そして3つ目の重要戦略が「ANAマイレージクラブアプリなどを活用したANA経済圏の拡大」
ANAマイレージクラブ会員数は、約4,000万人を誇ります。
出典:ANAグループ「ANAの広告媒体」
これら顧客基盤を活用したANA経済圏の早期拡大を計画。
実際、2023年5月には新たな「ANA Pay」をリリースし、スーパーアプリ化を目指しています。
経済圏の早期拡大と囲い込みで利益拡大に寄与。
結果、2025年度には増収効果として約400億円を見込んでいます。
ANAとJALの株価10年後を業績・配当性向から比較検証
ここまで、ANAの事業戦略にフォーカスし株価の将来性を解説してきました。
ただ1社のみの分析では結果に偏りが生じます。
同業他社と比較・分析することで、結果の確度はより高まります。
ここでは、ANAとJALの株価10年後を業績・配当性向から比較検証していきます。
ANA&JALの銘柄比較
まずANA&JALの銘柄比較をまとめた表が以下の通り。
比較表(2023年3月期) | ANA(9202) | JAL(9201) |
---|---|---|
売上高 | 2兆559億円 | 1兆6,518億円 |
当期純利益 | 1,570億円 | 955億円 |
営業利益率 | 10.11% | 8.53% |
自己資本比率 | 29.26% | 34.35% |
ROE (自己資本利益率) | 16.48% | 11.07% |
EPS (1株当たり純利益) | 335.09円 | 218.61円 |
PER (株価収益率) | 9.58倍 | 13.35倍 |
PBR (株価純資産倍率) | 1.44倍 | 1.40倍 |
配当性向 | 14.9% | 34.3% |
配当利回り | 1.56% | 2.57% |
【比較1】売上・利益ともにJALより優位
まず比較して明らかなのは「売上・利益ともにJALより優位」
【比較2】ROE10%超えは悪くないが引き続き改善は急務
客観的にみて「ROE10%超えは悪くないが引き続き改善は急務」
【比較3】コロナ後の5期ぶりに復配されるも配当利回りは1~2%程度
ただ懸念されるのは「コロナ後の5期ぶりに復配されるも配当利回りは1~2%程度」
コロナの影響で、直近4期は無配。
ですが、業績の見通しが好調に推移していることもうけて、5期ぶりに復配を発表。
2023年度の配当実績は「50円」
コロナ前の水準(60円~75円)で比較すると、戻っていないのが本音でしょう。
ANAの株価の10年後を占う戦略から今後の見通しを考察
ここまで、ANAの事業戦略と足元の業績について、深堀解説してきました。
では10年後の株価はどうなるのか?
ここからは、ANAの株価の10年後を占う戦略から今後の見通しを考察していきます。
【考察1】国際旅客を中心にトップラインの拡大がカギ
まず考察するうえで外せないのは「国際旅客を中心にトップラインの拡大がカギ」となっています。
訪日観光客数が2019年には年間3100万人訪れており、2023年は2500万人まで回復しています。2024年は4月までの段階で1100万人とコロナ以前と同等レベルに戻りつつあります。
出典:日本の観光統計データ
訪日観光の需要はコロナ以前よりも拡大していると言われているので、期待が持てそうです。
インバウンドは順調に回復。訪日客数・単価ともに2019年を超える水準が継続
2024年入り後もインバウンドの好調さが続いている。2024年4月の訪日外客数は304万人と、2カ月連続で300万人超えの高水準となった。
【考察2】スーパーアプリ構想が航空一本足脱却なるか
さらに注目すべきは「スーパーアプリ構想が航空一本足脱却なるか」。新型コロナによるパンデミックに限らず、テロや地政学上のリスクは航空事業を直撃することは必至です。こうしたリスクを軽減するためにも、マイレージや ANA Pay を始めとしたANA 経済圏が拡大することで、利用者の利便性向上による付加価値をどれだけ出せるかが注目されます。
【考察3】中長期的な価値創造に欠かせないSAFの普及促進
そして何より「中長期的な価値創造に欠かせないSAFの普及促進」
2050カーボンニュートラルに向けたSAF(持続可能な航空燃料)に関する共同レポートを策定。
ANAだけでなくJALをはじめとする航空業界全体で取り組むべき課題です。
まとめ:ANAの株価の10年後を占う重要戦略から今後の見通しを考察
ANAの株価の10年後を占う重要戦略から今後の見通しを考察してきました。
改めて、ANAの株価の10年後を占う重要戦略をまとめると、
- 稼ぎ頭である航空事業の利益最大化
- ノンエア事業の航空事業との回遊強化と収益拡大
- ANAマイレージクラブアプリなどを活用したANA経済圏の拡大
アフターコロナでどのような成長を遂げるのか、今後の動向に注目していきましょう。
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